電験三種の試験科目「電力」とは

2023年08月02日

1. 電験三種の試験科目「電力」とは

電験三種は、電気技術に関する国家資格の一つであり、電気設備の保守・監督(併せて保安業務という)を行う電気のスペシャリストに認められるものです。


その試験科目は「理論」、「電力」、「機械」、「法規」の4科目で、それぞれに電気についての基本理論、計測方法、電気工作物の設計及び運用、電気材料、電気機器及び電力システム、電気法規及び電気施設管理に関する深い理解が求められる試験です。

電験三種の試験科目「電力」とは

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その中でも電験三種の電力科目では、発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料に関する知識が問われます。

電験三種の電力科目試験では、発電・変電・送電・配電という電力系統に関連する様々な内容が問われますが、特に以下のようなポイントが重要です。

・有効電力(実効電力):有効電力は、電力のうち実際に有用に利用される部分を指します。電気回路や電力供給において、有効電力の正しい計算や制御が求められます。

・無効電力:無効電力は、有効電力以外の電力のことを指します。主に誘導電動機やコンデンサなどの非線形負荷において発生します。無効電力の概念や計算方法を理解することは、電気回路の効率や負荷に関する重要なポイントです。

・三相電力:三相電力は、交流電力の一種であり、三相の電圧と電流が組み合わさった電力です。産業用電力や送電網などで広く利用されています。三相電力の特性や計算方法を理解することは、電力システムの設計や運用において不可欠です。

・力率:力率は、電力の有効成分と全電力の比率を表します。電力の効率や電力品質を評価する上で重要な指標であり、電験三種の試験でも力率の理解が求められます。

2. 電力科目の合格率

電力科目の合格率は15〜20%程度です。他の科目と比較すると難易度はやや高めです。知識問題が全体の50%以上を占めるため、広く浅く勉強することが必要とされます。また、発電と送電に関する配点が大きいことから、この2分野の強化は合格に向けて重要なポイントです。

3. 電力科目の試験内容と試験問題

電力科目の試験は、筆記試験のみです。

電力工学や電気回路に関する知識が問われます。主なトピックとしては、電力の基礎、電力変換、電力制御、電気回路設計、保護装置などが含まれます。試験問題は、選択肢形式の問題や記述式の問題が出題され、基礎的な知識や応用力を評価します。

【試験問題の例】

以下に、電力科目の試験問題の一例をいくつか紹介します。

平成29年度問題

平成28年度問題

参考サイト:第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問題 解答:解説|実教出版ホームページ

https://www.jikkyo.co.jp/kakomon/denken3_kakomon/

平成27年度問題

参考サイト:第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問題 解答:解説|実教出版ホームページ

https://www.jikkyo.co.jp/kakomon/denken3_kakomon/h27/denryoku/

これらは一部の例ですが、試験問題は試験実施機関によって異なる場合があります。試験勉強の際には、過去の試験問題や関連の参考書を活用することをおすすめします。

4. 電力科目を合格するには

電験三種の電力に関する知識は、電気設備の保守・監督を行う電気のスペシャリストにおいて不可欠です。正確な電力の計算や制御、効率的な電力供給の実現には、電験三種の電力についての理解が欠かせません。電験三種の試験対策では、これらの電力に関する知識をしっかりと学ぶことが重要です。公式のテキストや過去問題の解説を活用し、実際の問題に触れながら理解を深めることがおすすめです。また、実務経験や現場での取り組みも知識の定着に役立ちます。

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