電験三種の法規は、電気関係法令や電気設備技術基準とその解釈など、電気に関する法律のうち電気保安と電気施設管理に関するものが専門的に出題される科目です。
出題内容に関しても暗記・文章問題が中心ですが、計算問題に関しても約40%出題されます。そのため、法規の試験内容や試験問題をふまえて、効率的に対策することが大切です。
この記事では、電験三種の法規に関して詳しく解説します。合格するための勉強方法までご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 電験三種の法規とは
電験三種の法規は、電気に関する法律問題が問われる分野です。電気関係法令・電気設備技術基準とその解釈・電気施設管理に大きく分類されます。
なかでも、電気設備技術基準の出題範囲が広い傾向です。出題傾向の偏りが少ないため、出題範囲をまんべんなく暗記する必要があります。
また、法規は他の科目と比較して問題数が少ないのも特徴です。全体で4問少なく1問あたりの配点が高いため、得意・苦手分野に関係なく対策しなければなりません。
2. 法規分野の合格率
以下は、過去5年間における法規分野の合格率をまとめたものです。
※出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験科目別内訳」
https://www.shiken.or.jp/
法規分野の合格率をみると、年度によってバラつきがあることがわかります。10%前半であったり、50%を超えたりなど年度によってかなり異なるため、あくまで参考程度にしてください。
また、合格基準点に関しても必ず変動しているわけではありません。そのため、基本的には変動しないものと考えて60点以上を獲得できるよう対策するのがよいでしょう。
3. 法規分野の試験内容と試験問題
先ほど、法規分野の概要や過去5年間の合格率を解説しました。とはいえ「どんな感じで出題されるのか知りたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
続いて、法規分野の試験内容と試験問題をみていきましょう。
法規分野の試験内容
法規分野は、以下の内容で実施されます。
項目 | 詳細 |
試験時間 | 65分 |
出題範囲 | 電気法規(保安に関するもの)及び電気施設管理 |
配点 | ・A問題:10問(1問あたり6点) ・B問題:3問(1問あたり13~14点) |
※参照:一般財団法人 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験」
https://www.shiken.or.jp/examination/e-chief03.html
試験内容をみると、B問題の配点が大きいことがわかります。そのため、B問題の正答率を上げて合格点までの土台を作り、A問題を半分以上正解して合格を目指すよう対策することが大切です。
法規分野の試験問題
法規分野では、電気に関する法律の穴埋め問題などが登場します。以下は、令和元年度に出題された穴埋め問題の1つです。
※出典:一般財団法人 電気技術者試験センター【問題】令和元年度第三種電気主任技術者試験 法規科目
https://www.shiken.or.jp/answer/pdf/328/file_nm04/T1-%EF%BC%A8.PDF
上記のような問題を解く場合、正しい組み合わせが選択できるよう電気事業法の内容の暗記が必要です。もし、暗記できていない場合においても、選択肢の中から条文として違和感がないかなどを踏まえながら考える力が求められます。
法規のA問題は、正しい組み合わせや正誤の選択問題などが多く出題されるため、過去問を反復しながら出題されやすいポイントを重点的に覚えてください。
具体的な勉強方法に関しては、後述します。
4. 法規分野を合格するには
電験三種の法規に合格するためには、以下の3つのポイントを踏まえて勉強してください。
- 暗記は効率よく進める
- 計算問題を安定させる
- 過去問題を反復する
それぞれのポイントを詳しく解説します。
ポイント①暗記は効率よく進める
法規の暗記分野は、闇雲に勉強せず効率よく進めることが大切です。むやみに勉強しても要点が抑えられず、点数につながりません。
電験三種の法規は、大きくわけて7つの法令で構成されています。
- 電気事業法
- 電気設備に関する技術基準を定める省令
- 電気関係報告規則
- 発電用風力設備に関する技術基準を定める省令
- 電気用品安全法
- 電気工事士法
- 電気工事業の業務の適正化に関する法律
上記すべてを暗記するのは膨大すぎて現実的でありません。そのため、最初の段階は参考書を繰り返して、ある程度まで覚えることを意識してください。
その後は、過去問題や予想問題を解きながら出題されたポイントをマーカーで線を引いたりメモに残したりしましょう。出題されやすい条文を中心に、勉強をコツコツと継続することで法規合格に近づきます。
ポイント②計算問題を安定させる
法規は文章問題が中心の科目ですが、計算問題も約40%出題されます。計算問題は、出題パターンが限られているため、安定して正解できるよう対策することが大切です。
電験三種の問題は、A問題・B問題にわけて出題されますが、法規の計算問題はB問題で多く登場します。法規のB問題は、1問あたりの配点が他科目よりも大きいため、正解できれば合格にかなり近づくでしょう。
過去5〜10年分の問題を解きながらパターンを把握し、安定して得点を稼げるよう対策してください。
ポイント③過去問題を反復する
暗記問題や計算問題をある程度解けるようになれば、土台は完成している状態です。あとは、過去問題を反復して出題傾向や苦手分野の克服に努めましょう。
法規の文章問題は、主に以下の3パターンで出題されます。
- 空欄を補充する問題
- 誤っているものを選択する問題
- 適切なものを選択する問題
上記の問題を解く際、選択肢以外がなぜ不正解なのかまで考えることがおすすめです。
例えば、誤っているものを選択した場合、正解以外の選択肢は正しいのでそのまま覚えて問題ありません。逆に、適切なものを選択した問題であれば、正解以外はどこかが誤っているため、必ずどこが誤っているかまで理解しましょう。
正解以外の選択肢まで深く考えることで、別パターンの問題が出題された際の応用力が養われます。電験三種では同じ問題が出題されないため、過去問題を通して応用力を身につけることで合格に近づくというわけです。